
ネット選挙解禁!という話題が駆け巡り、日本でもネット選挙が解禁されてから初めての選挙が行われました。それからだいぶ経ちましたが、日本の政治家は、まだまだウェブを活用しきれていないように思われます。同じウェブを活用した選挙キャンペーンでも天と地の差が見られるオバマ大統領の選挙キャンペーンを紹介します。
Contents
ランディングページの徹底的なA/Bテスト
事例1:2008年の選挙ではメルマガ登録率を40.6%改善!
2008年の選挙戦に際してのキャンペーンでは、オバマ大統領はメールアドレスを登録してもらうために、4種類のコール・トゥ・アクションボタンと、6種類のアイキャッチ画像をテストしたそうです。
オリジナルのランディングページがこちら。ここからメールアドレスを登録してもらうわけですね。
そして、以下がテスト結果です。
コール・トゥ・アクションボタンは、
- Sign Up (登録する)
- Learn More (もっと情報を見る)
- Join Us Now (今すぐ参加する)
- Sign Up Now (今すぐ登録する)
の4種類で、Learn Moreがだんとつの結果を出しています。
アイキャッチは、
- オバマ大統領の画像
- オバマ大統領と家族の画像
- チェンジ!の画像
- オバマ大統領の動画
- Samの動画
- Spring Fieldの動画
の中から、オバマ大統領と家族の画像が最も良い結果を出しています。
最終的なランディングページは、
このようにLearn Moreと家族写真の組み合わせとなり、オリジナルのランディングページに対して40.6%もコンバージョン率が高かったことになります!
事例2:2012年の再選時もテスト!テスト!テスト!
2012年の再選時も様々なランディングページをテストしています。
テスト結果のデータが見つからなかったので、ランディングページだけ紹介していきます。
最初のシンプルなバージョン。
2012のロゴが大きくトップに移動していますね。
オバマ大統領の画像が追加されています。
再びシンプルに。「2012年はここから始まる」にキャッチコピーが変更されています。
CTA(コール・トゥ・アクション)が”Let’s Go!”に変更されています。
“FIRED UP?”(火をたく?)にキャッチコピーが変更されています。
最初のシンプルなバージョンに回帰していますが、“Continue to website”(このページを無視してウェブサイトに進む)というリンクが取り除かれています。
あなたの地区のイベントを最速で知ろう!にキャッチコピーが変更されています。
最終的にはアイキャッチ画像に。
献金ページの徹底的なA/Bテスト
ウェブの活用はメルマガ登録だけに留まりません。こちらは、なんと6ヶ月の間に240ものA/Bテストを行い、献金ページのコンバージョン率(訪問者の募金率)を49%も改善した事例です。最終的には4,276,463件の献金から250,000,000ドルを集めることに成功しています。
事例3:ページ速度を改善してコンバージョン率を14%アップ!
まずは、ページの表示速度を改善しています。
元々は4秒経っても全く表示されていなかった献金用のページを2秒で表示されるように、ページの表示速度を実に60%改善したところ、コンバージョン率が14%もアップしたそうです!
事例4:入力フォームを分割してユーザビリティを向上!
ページ速度を改善し、背景画像を変更した後に、次は「献金のための長い入力フォームは、入力が面倒だからコンバージョン率が低いのではないか」と考え、4ステップに分割して、ひとつひとつのステップを簡単に行えるようにした結果、コンバージョン率が5%上昇。最初のステップは献金額を感覚的に選べるようになっていますね。
最終的には、以下の左側のようなランディングページになっています。
背景画像が変更されたほか、4ステップに分割されていること、どこまで入力が進んでいるのかが分かりやすく表示されるようになっていますね。
なお、右側は対立候補であるロムニー氏の献金ページ。
オバマ大統領の献金用入力フォームを1ヵ月後には真似しています。ロムニー氏は総額も表示していますね。
事例5:募金後のページで募金情報を登録してもらう
オバマ大統領のチームは、献金後のページで、献金者の情報を保存してもらうことで、次回以降の献金を簡単にし、ハードルを下げるという施策を行っています。ここでもキャッチコピーをA/Bテストすることで、結果を改善しています。
「次回の献金のために献金情報を保存しましょう。」から、「次はあなたの情報を保存してください。」と、プロセスの一環であるというようなキャッチコピーに変更することで、情報を保存してくれる率が21%も上昇しています。
事例6:お礼の品の画像でもA/Bテスト
こちらは、上記のランディングページの最適化後に、全く新しく行われたテストで、同じく献金を呼びかけていますが、お礼の品が用意されています。結果は公開されていないみたいなのですが、こちらのお礼の品の画像でもA/Bテストが行われていたようです。
紺色のTシャツ、白色のTシャツ、それぞれの表裏、お礼の品無しの5パターンがテストされていたようです。
メールで積極的に献金を呼びかける
事例7:献金を呼びかけるEメールの題名でも奇抜なA/Bテスト
献金を呼びかけるEメールの題名でも、さまざまなタイトルをテストしています。「資金が底をついてしまいます!」というタイトルが圧倒的なクリック率を誇っていますね。
また、このEメールマーケティングのテストでは、どれだけたくさんメールを送っても、ほとんどメルマガ登録を解除する人はいなかったそうです。一番積極的なときには、18~20人のライターが一日中メールの題名や文面を書いては次々と送信していたそうです。
まとめ:オバマ大統領のネット選挙
- メルマガ登録のランディングページをA/Bテスト
- 献金ページの表示速度改善
- 献金ページの入力フォームをステップ毎に分割
- 献金者の情報を保存するキャッチコピーでもA/Bテスト
- 献金のお礼の品でもA/Bテスト
- メールでも題名を呼びかけ、A/Bテスト
このように、一部の施策を見るだけでも、オバマ大統領の陣営が様々なウェブテストを通じてメルマガ読者の獲得を最大化し、そこから献金や支持を呼びかける等、ウェブビジネスの基礎を大切にしていることが分かります。
日本のネット選挙も、他党を批判する短文のおもしろくないブログを更新しているだけの議員や、相互フォローでツイッターのフォロワーを増やしているだけの候補者などが目立ちますが、規制が緩和されたり、ノウハウが広がっていけば、今後が楽しみですね。
以下の記事を参考にさせていただきました。
http://www.widerfunnel.com/case-study/obama-used-conversion-rate-optimization-to-win#more-267
http://www.businessweek.com/articles/2012-11-29/the-science-behind-those-obama-campaign-e-mails
http://kylerush.net/blog/optimization-at-the-obama-campaign-ab-testing/
ライター 万代
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